世界を崩したいなら泣いた雫を活かせ

 

3:4に戻せば売れる」

 

 

私はCDデビューの時を思い出していた。

当時グループの体制を決めた偉い人たちは、冒頭に書いた言葉を言う人たちと同じ様に、それが売れる為の正解だと本気で思っていたのだろうか。

そんなものが正解なら、私は不正解だとしても7をまとめて選んで愛したい。

 

よく考えてみてほしい。

過去のやり方に「戻す」という選択肢が今の彼らの中にあるかどうかを。

 

 

そもそもデビュー前のツートップメインボーカル時代とデビュー後の格差時代がごっちゃになっている人がいるようだが、似て非なるものであり状況から全くもって違う。

そして結果を見ても、デビュー前のツートップメインボーカルは戦略としても成功し、デビュー後の格差売りは戦略として失敗していると言えるだろう。

キスマイを考える上で必要不可欠なJr.時代から振り返って、様々な思いを巡らせてみる。

 

先輩後輩関係なく、少年時代の一学年の差はかなり大きい印象だった。

まだ幼いメンバーがいたこともあって、壁を壊して対等にものを言い合える環境づくりや、物事を教えるのは兄組の役割、引っ張るのは選ばれたツートップという状況が当たり前。

と言いつつ兄組だってまだまだで、(弟組にしか気付けない目線で教わることもあったよね)だけどやるしか前に進む道はなかった。

 

藤北はアイドルとしての魅せ方がJr.としてかなりのレベルまで来ていたことや、同じ熱量でパフォーマンスをする姿、そのただ歌や踊りが上手いだけではないカリスマ性(影響力)に、ファンは応援したい気持ちがどんどん高まり、相乗効果が生まれていたように思う。

「キスマイ=熱い」の基盤が、ここで作られたと言っても過言では無い。

 

弟組は年上メンバーである仲間と共に努力し、シンメに支えられながら魅せる力を付けていった。それぞれがそれぞれの頑張る姿に感化され、初めはただ集められただけだったはずのメンバーは「この居場所なら」と、キスマイを選んだ。

それは例えば誰かに、キスマイにいた方が良い、キスマイでいたら売れるんだからと指示されたわけではない。

自らの意思で選んだのだ。

 

彼らは順風満帆ではない現実と戦いながら、それでも自分の選んだ道を信じていた。

認められた証はひとつひとつ形となり、与えられるオリジナル曲は増えていく。

楽曲が増えていくにつれ、コーラスではないパートをもらったり(例えば少クラだったらコーナーで目立つ機会が増えたり、ユニットに選ばれたり、ソロ曲が貰える人がいたり)して、努力は認められるんだなぁと喜ぶ日があれば、その全く逆で肩を落とす日もある。

ファンは一喜一憂しながらも、応援するメンバーの笑顔を見るだけで、全てが救われるような気持ちだった。7人でいたから、それでも笑えたんだと思うと、メンバーにとってのそれぞれの存在の大きさは計り知れない。

 

デビューできる確証がないジャニーズJr.という時代。

応援していると言えば酷い言われようの時もあった。デビューなんて出来るはずない、これで売れるはずないとアンチには叩かれた。

でもキスマイが7人での「それ」を信じているのが伝わっていたから、信じているキスマイをファンは信じていた。これはもう根性論でしかなかった。

ファンもまた、「これで売れるはずがない」と言われているキスマイを信じることを自らの意思で選んだのだ。こういうところでも、彼らが見せつけてくれた熱さに自分達も影響されているんだなと思う。

失敗でも成功でも、彼らが自分たちの意思で決めて動くこと、頑張る姿がここにあることが私にとっての「応援していて良かった」と思える瞬間だとあの頃から感じている。

 

諦めずに努力した結果、グループの実力も人気も底上げされ、個性が出た7人が揃って並ぶ姿はとても輝いていた。

しかし、掴み取ったCDデビューでは前列後列の3:4に分けられ、歌割りや映る秒数だけでなく、立ち位置や照明の当たり方、バックダンサーの様に衣装もあからさまに格差をつけられた。

(Jr.期の衣装はほぼ平等で前期は先輩から受け継ぐ衣装が多い為、人数分足りない、兄組弟組の違い、装飾などの違いはあり)

彼らの意思だけではコントロール出来ない、決められてしまった夢も希望もない売り方だった。今後デビューするグループは、キスマイの格差売りがコケたことを教訓に出来るだろうなと思えたほどに。

やはりJr.期よりあからさまに酷い「格差」(実力の違いによるものではなく、まずは露出の多いメンバーから世間に覚えてもらおうとする売り方)を突きつけられたファンは、望んでいたデビューの形ではないと感じる人が多く、離れていく人も多かったように感じる。

デビューして数年間は、楽曲の良さを「格差」の残酷さが上回っていた為か、特別売れた曲は……?というのが本音である。

3:4の「格差」によってついたギスギスしたイメージは、ファンになってくれる人を狭め、ファンだった人を外へと追いやった。

幸福感を味わいきる時間はメンバーは疎か、ファンにも与えられず、やっぱりまだまだこれからで、乗り越えなきゃいけない壁が山ほどあるのだと思い知らされながら、1番に彼らから伝わるのは変わらない必死さや我武者羅さだった。

(またもやここで負けるもんかと歯を食いしばるキスマイとキスマイ担)

それでも彼らや携わった人たちが懸命に作り上げた作品のどれもが大切で、いつだってどこか泥と汗にまみれた7人に似合う曲の数々は、悔しくても忘れたくない宝物である。

 

大先輩の有難いお力添え(派生ユニットを作るという発想の転換で世間に覚えてもらう戦略)もありつつ、仕事を重ね、状況も変わっていき、彼らが前から目指していた7人が並ぶキスマイ」を彼らの意思でやっと追えるようになったのはデビューから数年経ってからだった。

(格差からの脱却は2014冬で光が見えて2016春前までずるずる尾を引いた)

(歌割りを平等にする試みはこのもう少し後)

パフォーマンスは少しずつ手法を変え、引き出しを増やし、アイドル戦国時代の同工異曲溢れる中で、現在は既視感(他アイドル〜キスマイ本人達)があるものではなく、新鮮さ斬新さなど印象に残る作品作りに重点を置いている。

 

よく考えてみてほしい。

過去のやり方に「戻す」という選択肢が今の彼らの中にあるかどうかを。

メインボーカルやリードボーカルを固定し、同じメンバーが不遇な扱いを受ける選択肢は、もともとキスマイが目指すキスマイにあるようには思えない。

(メインボーカルや、リードボーカルがあるのは平等じゃない。今後一切作らないほうが良い。ということでは決してない。それはまた魅せ方の一つの手段である)

パフォーマンスに幼さが残るメンバーがいたJr.時代、見当違いの残酷な売り方を強いられたデビュー〜数年。過去の状況と今は違う。

であっても、彼らが素直に良いと感じてきたものはこの先も作品を作り上げる際に取り入れられるだろうし、大人になりすぎて夢を持つのが難しくなってしまった時には、初心を思い出しまた力強く走り出せるように、Jr.時代を彷彿とさせる熱い曲を作る なんてこともあるかもしれない。それもまた楽しみにしたい。

 

ここ数年の作品はジャンルに偏りがなく(実際Jr.期のオリ曲もほぼそう)様々な方向性である為、ブレている印象を受ける人もいると思うが、いつでも彼らは未来を見て、今できる最善は何なのか考えながらチャレンジを繰り返している。

(ブレと感じるのは、ご自身の考える理想とズレているだけ)

初心も、原点も、通過点で経験した学びもちゃんと持っているから、彼らは強い。何度だって挑戦できる姿勢が、本当に逞しいと思う。

昔から、上手くいかず道を外れそうなメンバーがいれば誰かが声をかけ、支え、そして誰かに支えられて、ビジョンを明確に伝え合いながらキスマイは進んできた。


人数が多いほどグループは一筋縄ではいかないが、いくつもの壁を
7人で乗り越えてきた背景には、「足並みを揃える」という数え切れない努力があったからだ。

その大切さを7人は身を持って実感している為、変わり続ける挑戦をしながらも、変わらないキスマイらしさを持ち続けていけるだろうなと感じている。

 

・立ちたい場所がある(箱じゃないのも頷ける)

・売れなきゃ意味がない

彼らの思いを受け止めキスマイの夢を応援するなら、キスマイが目指すキスマイを一番に信じてほしい。

今の彼らが歌いたいものを形にしているここ数年の曲と、どうか真摯に向き合ってみてほしい。

大前提「7人」で。それだけあればどこまでだって行けると信じて走り出した彼らは、この先も国民的アイドルグループを目指して進んでいく。

メンバーそれぞれが、Jr.〜CDデビュー後数年間どこかしらで抱えてきた孤独を、もう二度と自分を含め他の6人、純粋な気持ちで応援するファンに感じさせないよう、足並みを揃えながら。